この本は29人の作家が愛した宿を紹介しています。
福田様は今年の春に当館にお客様としてご宿泊下さり、当館を小林秀雄が愛した宿としてお取り上げてくださいました。
お帰りの折に
「他の宿はほとんど又聞きの話で、細かいところまでわからないが、ここ(加満田)は、実際に先生を知っている人から話が聞けて大変嬉しかった。」とおっしゃていました。
帳場におります師星は50年近く当館に勤め、多くの先生方のお世話をさせていただいたそうです。
当時は、労働基準法などというものはなく、休憩時間、休日お構いなし、本人は「若かったから出来たことだな。」と、当時を思い出しながら、しみじみ申しておりました。
小林先生と加満田とのお付き合いについては、こちらの御本をお読みいただければ、お解かりいただけます。
先生が晩年ご利用下さった部屋は今も客室として現役です。
ご宿泊ご希望の方は、その旨お申し付け下さい。(2~3名様)
ただし、ご常連のお客様のご指名が多い部屋ですので、ご希望をお受け出来ない場合もございますので、ご了承下さい。
数回の雨と風で照り葉は随分落ち、庭は赤と黄色の絨毯を敷いたようです。
木々に残る葉も多く、まだ秋の様相で、外にふっと目をやると心穏やかな気持ちになりました。
気がせくばかりで正月を迎える準備が整わない焦る心に「大丈夫だよ」とやさしく囁いてくれているような夕暮れでした。