お客様がお帰りになってから、雨も上がったので、今日の花を取りに庭にいったところ、見たこともない大きなむかごを見つけました。
芋の蔓は、木を痛めるので、なるべく取り払ってしまいますが、むかごが出来ているのを見ると、やった!と嬉しくなります。
切った照り葉や薄を持っていたのに、地面にほっぽらかし、服が濡れるのも気にせず、手を伸ばしました。
充分に生育したむかごは、ちょっと触るとぽろぽろと落ちてします。
落ちたむかごは草の中に紛れてしまい、見つけ出すのはほぼ不可能。
今日は、生まれて初めて見るビッグサイズ、かなり興奮気味、あせる心を抑え、そーと、キャッチ。
手の中の確かな存在感。サンダルを履いていた足は草に残った雨露でビチャビチャ、この時期、服の裾にチヂミザサやイノコズチの種が付くのを何よりいやがるくせに、そんのことお構いなし。
ポケットに入れたむかごをどうしようかと、頭の中はそればかり。
いそいそと帰ろうとして足元に目をやると、取った照り葉が見事な色をしておりました。
楓の紅葉はまだですが、桜はほとんど終り、他の木々が思い思いに色を変え始めました。
指の先程の芋でこんなに幸せになれる奥湯河原の自然に感謝。
庭で取れたのもではありませんが、今月の前菜にもむかごを寄せてお出ししております。実は私、今回の献立の中で一番のお気に入りです。
むかご(零余子)とは、山芋の葉の付け根に出来る球芽、その蔓を伝って生えている土を掘れば自然薯が取れるはずです。ご飯に炊き込めば、むかご飯。塩茹でしたり、バターで炒めれば酒のつまみにもってこいだそうです。残念ながら私は晩酌の習慣がないため、その美味しさは理解できません。